新年明けまして、おめでとうございます。
2018年も一週間が過ぎましたが、ようやく今年最初の投稿を書いています。
前回の記事を書いてから、
今年の最初は何についてブログを書こうかと悩んでいたのですが、
そういえば昨年、
NextGateさんのお客さんでガンダム作品に登場するキット化されていないモビルスーツを
フルスクラッチ、セミスクラッチで製作されているA-Uさんの
オラザク選手権応募のお手伝いさえていただいた時に、
コンテスト用の撮影に関して、思う事が色々ありましたので、
ちょっとまとめておこうと思います。
近年、オラザク選手権だけに関わらず、
模型コンテストの1次審査が写真審査になっている事も多く、
自分の作品を撮影する必要に迫られている方も多いのでは無いでしょうか?
以前、フィギュアの彩色を担当する「フィニッシャー」や原型を造る「原型師」を
グッドスマイルカンパニーが募集したグッスマトライアウトの撮影方法について、
考察した記事を書いた事がありますが、
自分の作品を生で見てもらうのではなく、写真でPRするというのは、
普段、写真を撮っている自分からすると、
結構ハードルが高いのではないかと思います。
パネルラインやモールドの追加など形状に対する工夫は写真がブレてさえいなければ、
審査員の方に伝わるかと思いますが、塗装に関してはどうでしょうか?
パール塗装や微妙なグラデーションなど塗装面の工夫は伝えるのが
難しいのではないかと思います。
写真の撮り方で、自分の作品の持つポテンシャルを
現物以上にアップさせる事は容易ではないとは思いますが、
逆に魅力を失っている場合はよくあるの話なのではないかと思います。
ちなみに私もA-Uさんから撮影の相談を受けて、
実際に作品を撮影させていただいた時、
初日はどう撮影するべきなのか?がよく分からず、
後日、出直して撮影を行いました。
私が審査している訳ではないので、正解は分かりませんが、
まずは撮影してみてに気になった点を見ていきたいと思います。
こちらが1番最初に撮影した写真です。
当初、NextGateさんに展示されている作品を360°回転させるviewer用に撮影する為に
お邪魔していたので、1日目は三脚未使用の手持ち撮影をしています。
NextGateさんの撮影環境ですが、作業ブースをお借りして、以下のLEDライトを左右から当てています。
http://www.suntech-sp.com/2015/02/led-cn-t96-2.html
あと、背景紙はセットに付属していたフォトテーブル
(折りたたまれたボードを広げて背景に出来る)に黒い紙をセットしています。
(NextGateさんにはフォトラもありますが、今回は被写体が1/100スケールで大きかったので
フォトラでは肩より上への明かりが足りないと思いましたのでLEDライトを選択しました)
とりあえずカメラの露出を調整して、明るさを落としていきます。
こうして見るといい感じに影がでて、立体感が伝わる写真になっていて、
写真としては良いのではないかと思いますが、
作品の魅力を伝えるコンテスト用の写真としては、
あまり相応しくないのではないかと思いました。
理由は大きなシールドが左腕に装着されている事で脇腹に影が発生してしまい、
(向かって右側)
そこのディティールが見えにくくなっています。
しかも足の付け根にも影が出来てしまって、股関節部分のパーツが見えない状態になっています。
こちらが影を意識して調整した後の写真です。
LEDライトの位置を調整したり、作業ブースのスタンド(頭上)のライトを動かしたり、
あと、写真の下にちょっと見えますが、白いプラスチック段ボールをレフ板として、
足元に置いて角度をつけて股の下に光が当たるように調整しています。
(目で見るよりも、カメラは光と影の濃淡がハッキリと写りますので、
上からの光を下から反射させるだけで違いが出てきます)
因みによく撮影用の照明を左右から当てるのに、
光を強く当てればいい(とにかく明るくすればいい)と認識している人がいるように思います。
強い光を当てると影も強く出てしまいますので、逆効果になってしまう事もあります。
個人的な感覚ですが、光を均一化する事を意識していけば、
思うように影を消せるのではないかと思います。
(影を消すというよりは、薄くしていく感じでしょうか?)
次に気になるのは左右の余白です。
今回の撮影はパラスアテネが主役ですので、
カメラを縦に変えて、左右の余白が入らない状態で撮影します。
併せて、余白をトリミングしてみました。
縦構図に変えてトリミングしたのは、横の構図の写真から左右の余白を取り除くと、
解像度が少なくなる為です。
解像度はそこまで意識する必要はないと思っていたのですが、
実は後日ちょっと気になった事があります。(気になった事については後述します)
この時点で利用したフォトテーブルでは、パラスアテネのサイズではどう撮影しても
クリップが写真に入ってしまう事が分かりましたので、
後日、再度撮影する事を決意しました。
(作品をPRする写真なので、余計なものは写っていないほうが良いと考えました)
あとA-Uさんに聞いた決めポーズ、決め角度の撮影も
必ず背景紙からパラスアテネがはみ出ていました。
焦点距離60mmのレンズで撮影して、
この状況なので焦点距離の短いレンズのスマホで撮影すると、
もっと周りが写り込むのではないかと思います。
ここからは後日、大きめの背景用の布を用意して、
再びNextGateさんにて撮影した写真となります。
この時、利用した布のサイズは50cm × 100cmで
様々な角度から撮影しても背景が写り込む事はありませんでした。
あと、先日と異なる機材として、外付けストロボと三脚を使用しています。
模型コンテスト用の写真なので、出来るだけ作品がボケていない事が良いかな?と思いますので
絞り値を大きくして撮影する事が多いのではないかと思います。
そうすると、光量不足で
写真自体が暗くなる→明るくする為にSSを遅くする→手ブレしやすくなる
と悪循環にハマる可能性があります。
三脚を利用する事でシャッタースピードをいくら遅くしてもブレを防ぐ事ができるので、
可能な限り、用意しておいたほうが良いアイテムかと思います。
スマートフォンでもスタンドを利用して、タイマー機能で撮影すれば、
ブレを抑えて、シャープな画質で撮影できると思いますので、
やはり物撮りに三脚は必須アイテムかと思います。
(あと、オート機能で撮影する場合、勝手にISO値が大きい値に変更されて、
ノイズが多く発生した写真になる可能性がありますので、注意が必要です)
まず、ほとんどの模型コンテストの条件には、前後左右の写真が必要と記載があると思います。
私も勿論、一番最初に前後左右を撮影しました。
この時に気を付けたのは、向きを変えると光の当たり方も変わってくる為、
変に影が現れないように照明の位置やレフ板の位置を調整して撮影しました。
あとはアピールしたいポイントを集中的に撮影しました。
このパラスアテネは装甲の隙間から見えるフレーム部分が魅力ポイントかと思いましたので、
それらが見えるような角度で撮影していきました。
装甲の隙間に明かりが入って欲しかったので、フラッシュをバンバン焚いていますが、
単純に発光させると光が強すぎて、おもちゃっぽくなってしまうので、
ディフューザーを使って光を分散させています。
あと、カメラかストロボに調光機能があるのであれば、
マイナス(弱め)に設定したほうが落ち着いた雰囲気で撮影できるのではないかと思います。
(今回の撮影ではTTL-1.7に設定していました)
今回のパラスアテネは、ツヤ有コート仕上げではなかったので、
特に問題無かったのですが、
ツヤ有コート仕上げの作品は光の当て方に注意が必要かと思います。
ちょっとサンプルとなる写真が用意できなかったのですが、
フォトラなど左右からの照明を作品にあまりに近づけすぎて撮影すると、
装甲等に光の反射がのってしまい、
せっかくの塗装やモールドが写真で見えにくくなってしまう事がありますので、
注意が必要かと思います。
背景は特に黒にこだわる必要はないかと思います。
ティターンズカラーの作品等は特に背景が黒いと作品が映えにくい可能性があると思います。
そう思うと、グレーのグラデーションペーパーなどは
どんな作品にも使いやすいのではないでしょうか?
以上がA-Uさんの作品の撮影をお手伝いさせていただいた時に、
これは気を付けないとと思ったポイントになります。
今回撮影させていただいたパラスアテネは、
無事、一次通過作品としてホビージャパンに掲載されていました。
ホビージャパンを買って、結果を確認した時は、少しほっとしました。
あと、先述した後から気になった事とは、
このホビージャパンを読んでいて気になった事なのですが、
誌面には、オラザクの審査風景と思しき写真が1枚、さりげなく掲載されていました。
その写真には、審査員の先生方が机の上に写真を並べているように見えたのですが、
もしかして、全ての作品を一旦並べて比較しているのでしょうか?
(よく写真コンテストではそういった方法が取られると聞いた事があります)
となると、そこで気になってくるのは、
写真に出力して郵送した人とWEB応募でデータのみで投稿した人は、並べている資料に差が無いのかな?と。
普通にコピー機などから印刷された写真の場合、
写真として印刷された写真と比較されると、ちょっと不利なのではないかな~?と
ちょっと心配になりました。
(あくまで私個人の心配なので、実際は様々な方法で比較されていると思います)
手間とお金がかかりますが、印刷して郵送するのが、
余計な心配をしなくても済むかもしれませんね。
(最近はヨドバシカメラ等でも簡単に印刷出来ますので。
ちなみに写真を郵送されている方はサイズはどうされているのですかね?
六切りサイズ?A4?A5?)
あと、A-Uさんと話をしていて、
スマホで撮影する場合のコツは何でしょうか?という話をしたので、
その時に説明した事を簡単に残しておきたいと思います。
(撮影はiPhone8 Plusで撮影したものです)
1)スマホから離して撮影する。
スマホ撮影時の注意点でよく広角レンズによる歪みの事に触れられますが、
画面一杯に作品を写そうと被写体に近づけて撮影するのは、
コンテスト用の写真ではNGかと思います。
特にスマートフォンはレンズの位置が上に付いているモノがほとんどで、
ガンプラやFAガール等を上から斜め下に向けて撮影すると、
頭が大きく、足が短く写って、バランスがおかしくなります。
せっかく延長した手足が短く写ってしまう可能性があります。
離して撮影し、トリミングした写真と比較したものが以下の写真です。
(左が5cmから10cmの距離で撮影したもの、右が20cm離して撮影したものです)
ちなみにiPhone Plusには光学2倍の中望遠レンズが搭載されていますが、
こちらのレンズで画面一杯に撮影した場合でも、歪みが少ない写真を撮影する事ができます。
フィギュア撮影での解説になりますが、
広角レンズの歪みについて、とても分かり易い解説が書かれた記事が
最近、相互リンクのサイト様で公開されましたので、紹介したいと思います。
フィギュア撮影講座5 アングル・ポジション・パース
リンク先のアングルの話はFAガールの撮影でも有効なのではないかと思います。
あと、コンテスト用写真には向かないと思いますが、
スマホを上下ひっくり返してレンズを低い位置から撮影すると、
モビルスーツの大きさを表現した写真を撮影する事が出来ます。
ツイート等で使う写真には、こういった撮影方法は良いのではないでしょうか?
但し、スマホの傾きが目立ちやすいので注意が必要です。
(下の写真でも水平線が傾いてますね)
2)フラッシュは発光させない。
基本、フラッシュを発光させると局所的に光が強く当たってしまい、
おかしな色の写真になってしまいます。
スマートフォンのフラッシュはとても調整が難しいかと思いますので、
できるだけレフ板等で明るくするようにしたほうが良いと思います。
ちょっと極端な例ですが、
照明の下でガンダムの下に
A4用紙を置いた場合と置いていない場合の写真の比較になります。
左右に照明を設置したり、
レフ板代わりになる白い紙などを周りに設置する事で
少しずつ被写体が明るくなっていくと思いますので、
手間はかかりますが、そうやって明るさを調整していったほうが良いかと思います。
以上になります。
スマホ撮影の注意点は、色々な所で説明されている事なので、
今更感もありますが、自分への注意も兼ねて記載しておきます。
あと、最後にコンテストの趣旨が写真コンテントの場合は、
また違った視点が必要となってくると思いますので、
色々と考える必要が出てきそうですね。
新年早々、長々とまとまりのない文章になってしまいましたが、
今年一年も色々なレポートや記事を更新していきたいと思います。
また、イベントや模型会場をウロウロさせていただこうと思いますので、
今年も何卒よろしくお願いします!!